事業のリスクを限定したい
事業に伴うさまざまな債務・責任
事業を運営する中では、いろんな相手と取引を行い、お金を払う責任(債務)を負っていきます。
例えば、代表的なものは次のとおりです。
- 従業員に対する給料債務
- 法人税、法人住民税、法人事業税、消費税などの納税債務
- 銀行に対する借入債務
- コピー機、車などのリース債務
- ビルのオーナーに対する賃料債務
- 材料の仕入先に対する買掛金債務
- 製品の欠陥・サービスのミスによる損害賠償債務
お金を払う責任を負うのは会社(法人)か・経営者個人か
前記のとおり、事業運営の中では、さまざまな債務を抱えます。
この債務の弁済義務を負うのは、個人事業ならば経営者個人。
一方、会社・法人ならば、弁済義務を負うのは会社・法人であり、経営者個人は弁済義務を負いません。
つまり、会社・法人にお金がなくて支払ができない場合、経営者個人が代わりに支払う必要はないのです。
この点は、特に失敗リスクの大きい事業を行う場合には大きなメリットだと言えます。
会社・法人でも、経営者個人が責任を負う場合はある
会社・法人で事業を行うことにより、経営者個人の責任を限定できることはご説明しました。
ただ、一切の責任を免れるわけではありません。
次のような場合には経営者個人も責任を負いますので、経営者個人のお金で支払をしなければならなくなります。
- 経営者個人が連帯保証人になっている場合
- 会社・法人が第三者に損害を与えたことにつき、経営者個人に故意・過失が認められる場合
結局、法人化により責任を限定できるのはどのような場合か
会社・法人で取引を行うにしても、ほとんどの場合には経営者個人の連帯保証を求められます。
したがって、法人化により責任を限定できるのは、現実的には従業員に対する給料債務と納税債務になるでしょう。
それでも、これらの債務を経営者個人が支払う責任を負わないということは、経営者個人にとっては大きなメリットであると言えます。
特に、経費のほとんどが人件費になるようなサービス業においては、法人化により経営者個人のリスク・責任を最小限に抑えることができるでしょう。
もちろん、道義的な責任はまた別の話ですが・・・