農業経営を法人化する


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農業経営を法人化する

家族経営である農業を法人化するという動機は、色々あるでしょう。

「加工・販売等、多角的な経営(いわゆる「6次産業化」)をしたい」
「経営規模を拡大させたい」
「後継者を確保したい」
「もっと地域社会・農業の発展に貢献したい」

このように、稲作のような土地利用型農業をはじめ、施設園芸、畜産など、農業を営む法人を総称して「農業法人」といいます。

農業法人はいくつかの種類に分けることができます。
「農地を所有するのか」「農地を賃借するのか」「どんな農業を行うのか」等で、どのような法人形態にするのかが決まります。

1.農事組合法人

農業の協業による共同利益の追求を目的とする組織であり、構成員の公平性が重視されます。
農作業の共同化や施設の共同利用等を図ることで、組合員の共同利益を増進することを目的としています。
そのような性質上、「農業経営」よりも「施設の共同利用や農作業の共同化」の方が中心となっています。(一定の要件を満たして農業生産法人になることは可能です)
中山間地域等の経営が厳しい地域で、仲間同士が力を合わせていくような場合もあります。

2.農業生産法人

農業生産法人は、農業経営を行う為に、所有権も含めた農地の権利を取得できる法人です。
形態としては株式会社(但し、公開会社でない場合に限る)、合名会社、合資会社、合同会社、農事組合法人(但し、農業経営を行うものに限る)があります。
農業生産法人となるためには、事業や構成員、役員について一定の要件があります。

①農業生産法人の要件

・法人形態要件
農業生産法人になる為の法人形態は、5つの種類に限られます
  • 株式会社(株式譲渡制限会社(公開会社でない)に限る)
  • 合名会社
  • 合資会社
  • 合同会社
  • 農事組合法人
・事業要件
農業生産法人の事業の要件は、「主たる事業が農業であること」です。
農業とその関連事業が売上の「過半」であれば、他の事業を行うこともできます。
※関連事業の例・・・農産物の生産・加工、貯蔵、運搬、販売、農業生産資材の製造、農作業の受託、林業、共同利用施設の設置、農村滞在型余暇活動に利用する民宿

・構成員要件
農業生産法人の構成員に関しては、以下の縛りがあります。
  • 「農業関係者」が総議決権の3/4以上
  • 「農業関係者以外」が総議決権の1/4以下
※農業関係者とは
  • 農地の権利を提供した個人
  • 法人の事業の円滑化に寄与する者
  • 基幹的な農作業を委託した個人
  • 農地等を現物出資した農地保有合理化法人
  • 農業協同組合・農業協同組合連合会
  • 地方公共団体
※農業関係者以外とは
  • 法人から物資の供給等を受ける者
  • 法人の事業の円滑化に寄与する者
    例・・・他の農業生産法人、食品加工業者、生協やスーパー、産直契約する個人等
・業務執行役員要件
農業生産法人の役員には、一定の要件があります
  • 農業生産法人の業務執行役員の過半の者が法人の農業(関連事業を含む)に常時従事(原則   年間150日以上)する構成員であること
  • 上記に該当する役員の過半が省令で定める日数(原則年間60日)以上農作業に従事すること

②農地についての基準

また、農地を買ったり、借りたりする場合には、農地法に定められた要件を満たす必要があります。
自治体の計画によって異なる場合もありますが、基本的な考え方を挙げます。
・農地のすべてを効率的に利用すること(全部効率利用要件)
「効率的に利用する」かどうかは、経営規模や作付する作目、機械の保有状況、農業に従事する人数・労働力、農業に関する技術など、総合的に判断されます。
これらの点を説得的に説明するため、適切な「営農計画書」を作成する必要があります。
・農作業常時従事要件
許可を得ようとする者が、農作業に常時従事しなければならないという要件です。
原則150日以上とされますが、画一的に日数だけで判断されるものではなく、地域の農業経営の現状や繁忙期等の状況を見て判断されます。
・経営面積が一定面積以上であること(下限面積要件)
取得後の農地面積の合計が要件を満たさない場合、許可を得ることができません。原則50アール(北海道は2ヘクタール)ですが、地域の実情に応じて、自治体により変動があります。
・周辺の農地利用に支障がない(地域との調和要件)
地域における農業の取り組みを阻害するような権利取得を排除するための要件です。
例えば、既に集落営農や経営体により農地が画的にまとまった形で利用されている地域で、その利用を分断するような権利取得、地域の農業者が一体となって水利調整を行っているような地域で、この水利調整に参加しない営農が行われることにより、他の農業者の農業水利が阻害されるような権利取得、無農薬や減農薬での付加価値の高い作物の栽培の取り組みが行われている地域で、農薬使用による栽培が行われることにより、地域でこれまで行われていた無農薬栽培等が事実上困難になるような権利取得、の場合は、許可を得るのが難しいと言えます。

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